ごあいさつ
奈良公園一帯に生息する鹿は、人によく馴れ、その愛らしさが訪れる人々の心をとらえ、心和むひとときを与えてくれます。また、都市近郊で野生動物の生態を間近に観察することができる世界にも類例のない貴重な存在です。
「奈良のシカ」は、日本書紀の記述や、万葉集にも詠まれていることなどから約1,300年以上にわたり、生息していることが伺えます。明治の混乱期や、第二次世界大戦の戦中戦後に絶滅の危機がありましたが、その時代の時々を、奈良の人々が大切に守り、共に暮らしてきました。
昭和32年に「奈良のシカ」という名称で国の天然記念物に指定され、文化財として大切に保護されています。
平成23年7月に鹿の頭数調査を実施した結果、奈良公園内では1,095頭の「奈良のシカ」が生息しています。しかしながら、昨年1年間の鹿の死亡頭数は362頭を数え、とりわけ交通事故は、年間150件以上発生し、98頭の命を奪いました。また、来訪者が捨てるビニール等のゴミを食べることで、胃腸にたまり、栄養不良で死亡するなど、古来より大切にシカを守ってきたにもかかわらず、現在では多くのシカたちに不幸を招いています。
そこで、人と野生動物との共生・共存のあり方を考え、自然環境の保護、文化財を守る心を育むことを目的として、国の天然記念物「奈良のシカ」の保護啓発ポスターコンクールを実施いたしました。
全国の小学生を対象に作品を募集し、総数370点の素晴らしい作品をご応募いただきました。
本展では、応募された多くの作品の中から、入選作品を展示しております。
ご来場の皆様には、あらためて「奈良のシカ」の現在の生息環境の悪化を認識していただき、かけがえのない自然を守り、後世に種の保存継承していくための一翼になれば幸いと存じます。
当会は、「奈良のシカ」の保護育成と「人とシカの共生」のため、今後とも一層努力していく所存でありますので、何卒ご支援ご協力いただきますようお願い申し上げます。
この作品展を開催するにあたり、ご尽力、ご協力をいただきました関係者各位に対し、厚く御礼申し上げます。
財団法人 奈良の鹿愛護会