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鹿からのメッセージ

 奈良といえば鹿!!と思われる方も多いほど有名な奈良公園の鹿ですが、みなさんも知らない鹿の厳しい現状があります。
 

 そのため、財団法人奈良の鹿愛護会ではさまざまな活動を行っています。 ここでは少しでもそのことを知っていただくため、パネルを展示しています。 

 ぜひともご覧になって、鹿からのメッセージを受け取ってください。

 

 〜 目 次 〜
 ● 歴史・生態
 ● 死   亡
 ● 鹿   害
 ● 調査・研究
 ● イベント活動
 ● 未来へ

 

歴 史


 奈良の鹿の歴史は古く、万葉集(759年)に春日野周辺には野生のニホンジカが生息していたと思われる歌が記載されています。
 鹿たちは、神鹿信仰により保護されてきましたが、けっして平穏に過ごしてきたわけではなく、2度にわたる絶滅の危機が訪れました。明治維新の混乱期にはたくさんの鹿たちが殺傷され38頭まで激減、また第二次世界大戦の戦中戦後にも餌の欠乏や人による殺傷により、総頭数が80頭にも満たない危機に陥りました。
 しかし、市民の有志の方々が立ち上がり保護に取り組んだ結果、頭数が回復し現在に至っていまます。
 その歴史的価値と、野生動物でありながら自然馴化した特有の生態による学術価値によって、国の天然記念物に指定され、今日まで大切に保護されています。

 

生 態


奈良公園に生息する鹿の分類は、偶蹄目(ウシ目)シカ科、和名ニホンジカ 学名Cervus nippon 。

生息域は春日山原生林から奈良公園一帯です。 

生息頭数は、総数1,248頭、オス鹿232頭、メス797頭、子鹿219頭(平成18年7月16日現在)

主食は、シバ、ススキ、他のgraminoid(イネ科及びカヤツリグサ科などの総称)等や木の実等。鹿せんべいは鹿にとってはおやつ程度で、鹿せんべいに依存しない鹿もたくさんいます。

角はオスだけに生え、生涯成長を続けるわけではなく、毎年春先に生え替わります。

出産は、1年に1頭、春に出産します。

 

体のサイズ (平均値)   成 獣   (p)
  オ ス メ ス
体長
頭部 
尾長 
頭胴長
肩高 
後足長
体重 
80 
50 
11〜13
130 
76  
38  
70〜80 (s)
70
40
11〜13
110
68
35 
40〜50 (s)
  

 

死 亡


 昨年7月から今年の7月までの1年間に302頭の鹿が死亡しました。
 死亡原因はさまざまですが、ここでは大きく分けて2種類の大きな原因についてお話したいと思います。

 

@病 気

 みなさんが奈良公園に来て、ゴミ箱はどこかな?と探されたことはないでしょうか。以前は設置されていましたが、鹿がゴミをあさって、それを食べて死亡する問題などがあり、今ではあまり見かけなくなりました。
 しかし、心ない人達による公園内でのゴミのポイ捨てが無くなることはありません。
 では、そのゴミを食べた鹿はどうなるのでしょうか?
 右の写真は、鹿の胃の中から出てきたビニールの塊です。このように、ビニールは消化されず、胃内にたまっていきいます。
 その量はおよそ3〜5kgにもおよび、鹿は食べ物を食べることが出来なくなり、栄養不良で死亡してしまいます。
 では、ビニール以外のものだったら何を食べさてもいいのでしょうか?
 鹿は草食動物ですので、本来食べることのない肉類や甘味料等は体に良くありません。野菜も少量なら大丈夫なのですが、たくさん食べると中毒を起こし、死亡してしまいます。鹿には食べ物を与えないようご協力下さい。
 また、心ない人からいじめられたり、カメラを写そうと追いかけると、ストレスで命を失うこともあります。
 このように私たち人間は、自分では気づかないうちに鹿を苦しめているのです。


★鹿の胃から出てきたビニール塊

 

A交通事故

 公園内には道路がたくさんあり、交通量も決して少なくありません。そのために多くの鹿が交通事故でケガをしたり、ひどい時には死亡しています。
 みなさんからすれば、鹿たちが道路をさけて生活すれば交通事故にも遭わず、安全なのでは?と思われるかもしれませんが、もともと鹿の生活圏に奈良公園ができ、道路が作られました。
  突然道路を作られて、「ここを通ったらキケン!」と言われても鹿にはわかりません。鹿たちにとっては大切な餌場を分断されても道路を渡らないわけにはいかないのです。そのために交通事故は起きてしまいます。  では、事故が起こったら鹿はどうなるの?  当会のレスキュー隊は、24時間体制で鹿たちの救助を行っています。
 夜間でも通報があれば即座に出動し、鹿を保護します。傷ついた鹿は獣医が診察し、怪我や病気が完治すれば、公園に解放しています。時折、公園内で少し足の不自由な鹿を見かけますが、それは事故で骨折した後、骨も固まり、自然の中で元気に暮らしている鹿たちです。  しかし、重症の鹿たちは、一生鹿苑で保護しています。また、手当のかいもなく死亡する鹿たちもたくさんいます。
 もし、みなさんが交通事故の現場を見たり、ケガをしている、様子がおかしい鹿を見かけましたら、ご連絡ください。急いで現場まで駆けつけます。    


事故発生!

 


  ★交通事故による出動数   108件

  ★交通事故による死亡数    74頭

 

                       (H17.7.16〜18.7.15)  

 

鹿 害


 鹿害(ろくがい)とは、鹿がおこす被害のことです。
 しかし、これだけではすべて鹿が悪いように思われるかもしれません。
 では、なぜ鹿害が起きてしまうのでしょうか?

 

@農地被害

 これは農地を鹿が荒らしてしまうことですが、公園には柵のような囲いがありません。そのため鹿はどこまでも行動範囲を広げることができます。公園以外の場所で鹿に食べ物を与える人がいると、その場所に毎日通うようになり、鹿の行動範囲が広がります。そして通る道すがらに農地やガーデニングのお家を見つけてしまうのです。  
 鹿も人間と同じで、一度おいしいものがある場所を覚えてしまうと、ずっと忘れません。また、公園に野菜くずや果物を持ち込み鹿に与えると味を覚え、市街地の畑等に植えてあれば食べてしまいます。
 (鹿にとっては、一方の人からはもらえるのに、こっちの人には食べるとしかられる・・・???)
 このように人が鹿を公園から引き出してしまうのです。それによってたくさんの方々が農地を荒らされたり、庭の花を食べられたりと被害を受けて鹿が嫌われる原因になってしまうのです。
 こうなると嫌われる鹿を捕獲し、鹿苑に収容しなければならくなります。


★鹿苑に収容され、
もう公園には戻れない鹿たち・・・

 

★捕獲・収容

 では、捕獲収容した鹿はどうなるのでしょうか?  一度おいしいものを覚えるとなかなか忘れない鹿たち。もう二度と公園内にはもどすことができません。生涯鹿苑のなかで生活をおくらなければなりません。鹿苑にはそんな鹿たちがたくさん収容されています。
 緑がいっぱいの、広い公園には二度と戻れない鹿たち・・・

 「奈良のシカ」は、国の天然記念物に指定されている貴重な文化財です。この鹿たちと市民と共生するためには、多くの方々のご協力がなければできません。
 どうか鹿の愛護のために、公園から市街地に出ていかないよう、また花や植木などは鹿に食べられないように、各自で工夫していただきますようご協力をお願いします。


★鹿を捕獲するための柵

 

★鹿苑の中は鹿の密度が非常に高いため、草木も生えず地面は糞であふれています。その中で生活している鹿たちには非常にストレスがかかります。また、互いのテリトリーに侵入するため頻繁にケンカが発生し、角で突かれて負傷したり死亡するケースがたくさんあります。

 

鹿 害


 農地被害とは違い、鹿が人に対して及ぼす被害を人身事故といいます。
 普段は公園でのんびりしている鹿が、なぜ人に危害を加えるのでしょうか?

 


A人身事故
 

 鹿にとって春は出産シーズン。公園内で子鹿の姿を見ることが多くなります。みなさんも愛らしい子鹿を見つけたら、ついつい近づいてみたくなりませんか?
 しかし、おかあさん鹿から見れば、私たち人間は我が子を襲う危険な生き物に見えています。そして母性愛の強さから子鹿を守ろうとして、私たちに攻撃してくるのです。そのために春の出産シーズンには人身事故が増えてしまうのです。

 

出産

 その対策として、鹿苑という施設の中で出産できるよう、3月中旬頃から5月上旬ごろまで、妊娠鹿を約200頭ほど捕獲しています。公園に解放するのは、子鹿がある程度大きくなって、人が近づいても母鹿が安心して見ていられるようになる7月中旬以降になります。
 しかし、鹿苑の中は安全ですが、草が生えない泥土のなかで子育てをしています。  
 芝生や草むらの中など自然の中で出産するところを鹿に我慢してもらっているのです。もし、公園で親子の鹿を見かけたら、このことを思い出してください。


★緑いっぱいの自然の中で産みたかったわ・・・
 

 秋の鹿は・・・。ご存じの方も多い「鹿の角きり」。これは発情期に入ったオス鹿が、私たちにとって危険だからと始められた行事です。では、どう危険なのでしょうか?
 発情期には、オス鹿は自分の子孫を残すため、メス鹿を獲得しようとオス鹿同士が激しく闘争します。
 人がメス鹿にせんべいを与え、オス鹿の縄張りから引き出してしまうと、メス鹿を囲い込んでいるオス鹿は「恋人を取られた」と思って攻撃してきたり、真剣勝負のケンカ中でにらみ合っている二頭のオス鹿の近くを通るだけでもケンカに巻き込まれ、大けがをする場合があります。

 

 公園で、角が切られている鹿を見られたことはないでしょうか? これも人身事故を未然に防ぐための防止策なのです。角が堅くなりだす8月下旬頃から翌年の3月頃まで、満1才以上の角鹿を捕獲し、角を切って解放しています。
 その頭数は年間約250〜300頭にもなります。角を切ることは、人でたとえれば爪を切るようなもので、痛くはありません。
 しかし、オス鹿にとって、恋のシーズンに大切なシンボルを切られてしまっては・・・「メス鹿から相手にされなかったらどうしよう・・・」
 鹿にとってはとても残念なことですね。人と鹿の共生のため、鹿に我慢してもらっているのです。


★せっかく伸ばした角なのに・・・
切らないで!!

 このように人身事故の原因は、鹿にとってみれば『子孫を残すため』というとても大きい理由があったのです。
 決して「人が嫌いだから」という理由で危ない目に遭わせようとしているのではないのです。そして『私たちと共生する』という理由で、鹿は大きな負担を強いられているのです。

 

★私たちに出来ること

 それは鹿の習性を理解し、正しい接し方をする事ではないでしょうか。それが最高の人身事故防止対策になり、なおかつ鹿ばかりが我慢をしないで良い奈良公園になるための第一歩になるのです。

 当会では、初めて鹿と接する方にもわかりやすいように、春秋シーズンの注意事項、鹿との接し方などについての看板を公園内62ヶ所に設置しています。それだけではなく、特に危険な出産・発情期には、各シーズンに合わせた注意事項をたくさんの方に聞いてもらえるよう、広報車で注意を呼びかけながら公園内を巡回しています。

 みなさんが奈良公園で鹿と接する時はこの事を思い出してください。

注意看板

 

調査・研究


 愛護会ではさまざまな保護活動を行っていますが、同時に調査・研究も行っています。これはとても大切なことで、現在鹿がどのような状況なのか、これからどうなっていくのか予測することができます。

 

★頭数調査

 「奈良のシカ」の全頭調査は毎年7月に行います。

 調査範囲は奈良公園一円で、現在の生息頭数を把握するための大切な調査のひとつです。早朝5時からボランティアの方たちと、公園の西側から東へ向かって一斉に数えていきます。

 なぜ早朝なのかというと、鹿はねぐらから夜明けとともに起き出し、シバなどを採食しながら、西方面に移動します。少し時間が遅くなると、鹿は座り込んで反芻を始めてしまうので、その前に頭数をカウントします。また、人や車の通行量も少なく、鹿が走り回ったりしていないので、頭数をカウントしやすいのです。

 しかし、何が起こるかわかりません。以前は鹿が犬に追いかけられて逃げ回り、正確に数えることができないことがありました。そのため頭数調査は2日間行います。

 この調査は昭和28年から現在までのオス、メス、仔鹿の比率や総数などの頭数の推移が一目でわかるようになっています。また、エリア別生息数調査は、スタッフだけで毎月行います。おもな観光ポイントで季節ごとの頭数をカウントし、鹿の行動を調査しています。
 

 
頭数調査表
 


調査範囲
 

 

★体の測定 

 さまざまな理由で捕獲した鹿は、体重や体の大きさ、足の長さなどを測定します。

 なぜ、測定するのでしょうか?
 それは、現在の体格の測定平均値が過去のものと変化があるかどうかを見極めることができます。

 もし、平均値が小さくなっていたら、このままでは小型化してしまうのではないか?大きくなっていたら?  各年で相違がある場合、その原因をつきとめ、今後の保護活動に生かしていきます。

 

★マイクロチップ

 聞き慣れない言葉かもしれませんが、みなさんはマイクロチップというものをご存じでしょうか?これは小さな電子標識器具で、動物の名札のようなものです。これを捕獲した鹿に注射し、個体識別をしています。これは一般的な皮下注射とほとんど変わらないため、鹿に負担をかけることはありません。
 このマイクロチップによって、鹿が生まれてから死亡するまでに、どんなことがあったのかわかるようになっています。
 たとえば、メス鹿ならば初産年齢はいくつなのか?
 何年おきに出産するのか?何歳まで出産するのかなどがわかります。
 オス鹿であれば、角の大きさは何歳でどれぐらいか?
 何月頃にケガをしているのか?というように個体を追跡する事が可能になり、より正確なデータを集めることができるようになります。


★マイクロチップを読み取っています

 

活動・イベント


 これまで、見ていただいたように、鹿が生活している環境は、決してやさしいものではないのです。それをたくさんの方に知ってもらうため、当会ではさまざまな活動を行っています。また、イベントも実施していますのでみなさんもぜひご参加ください。

 

★立て看板・注意放送    

 かわいそうな鹿が少しでも減るように、当会ではカーブで見通しの悪いところや、鹿が必ず横断する場所などに、さまざまな鹿の飛び出し注意看板を設置しています。

 また、広報車で注意放送を流しながら公園内を巡回し、たくさんの方に気をつけてもらえるように日々活動をしています 。

     

   


 


 

★事故に遭い、死亡はまぬがれましたが、後ろ足を失ってしまいました。 ★交通事故や病気で不幸にも死亡してしまった鹿は、解剖して死因を特定します。

 

 

★クリーンキャンペーン 

 奈良公園のゴミゼロを目指して、平成16年からクリーンキャンペーンを実施し、今年で3年目を迎えます。

 この活動は、公園に生息する鹿はもちろん、それ以外にもさまざまな生き物たちの生息環境を守るためのもので、ボランティアの方にも参加していただき、公園内のゴミを拾います。この活動を通して、公園内でのゴミのポイ捨てがなくなり、みなさんが公園に遊びに来た時はゴミを持ち帰ることが当たり前になる社会に変わっていくことを目指しています。

 

★「奈良のシカ」保護啓発ポスターコンクール    
 

 全国の小学生を対象に、人と鹿との共存・共生の在り方をテーマにポスターコンクールを毎年実施しています。今年度もたくさんの応募があり、「追いかけないで!」「ゴミを捨てないで!」など、みなさん鹿の気持ちをしっかり考えて、素晴らしいポスターをたくさん送ってくださいました。

平成18年度

最優秀賞作品

 

★「奈良のシカ」愛護週間・愛護月間

 当会では、鹿の出産期の5月に「愛護週間」。また、発情期の11月に「愛護月間」を創設し、鹿の生態を広くPRし、鹿と人が共生できるまちづくりを目指しています。 この期間は鹿の保護啓発活動や会員募集・募金活動を行っています。

   
★鹿まつり

 残念ながら不幸にも交通事故や病気で死亡してしまう鹿はたくさんいます。そんな鹿たちのための行事が「鹿まつり」(慰霊祭)です。これはさまざまな理由で死亡してしまった鹿の冥福を祈るもので、毎年11月20日に行われます。鹿苑の中に鹿の慰霊碑が建っており、その前で慰霊祭を行っています。鹿まつりは誰でも自由に参加できる行事で、中には不注意で鹿をはねてしまった方や、鹿の現状を知って参加される方もいます。  

 みなさんも時間があれば一度お越しください。

 

★ホームページ

 このように、愛護会ではいろいろな活動を行っています。一人でも多くの人々に伝え、奈良の鹿の保護にご理解ご協力をいただくため、ホームページを作成しています。ここでは鹿の歴史から生態、愛護会の活動内容など、奈良の鹿のことがわかる内容になっています。なにか疑問に思ったり聞いてみたいことがあれば、メールで質問してください。

質問がない方も、ぜひ一度ホームぺージを見にきてください。

ホームページアドレス

www.naradeer.com  

 

 

人が鹿にもたらした悲劇…

 最後に「人と鹿」の共生について考えたいと思います。  その前に、みなさんは「白ちゃん」と呼ばれていた鹿や、白い鹿がいたことをご存じですか?

 

 ★白ちゃん★

 1954年(昭和29年)額の真ん中に真っ白い毛をつけた子鹿が誕生しました。
 まるで、白い王冠をかざしているように見えるその子鹿は、日本中から愛称を募り、「白ちゃん」と呼ばれるようになりました。
 人にはとっても愛されていましたが、鹿たちからは変わった姿なので相手にされていませんでした。
 しかし8年目にしてようやく待望の赤ちゃんを授かり、愛情いっぱいに育てていたのですが、交通事故で大切な赤ちゃんを奪われてしまいました。わずか2週間ほどの幼い命でした。それ以降白ちゃんは車に対し、とても攻撃的になってしまいました。白ちゃんは 毎日、子鹿のことを思い、悲しみに暮れる日々を過ごしていました。その後、白ちゃんは、一度も子鹿に恵まれないまま、白ちゃん自身も交通事故で死亡してしまいました。

   

        


 ★白鹿ファミリー★

 奈良の鹿には、神護景雲2年(768年)に春日大社の神様が白い鹿に乗って三笠山へ降りてきたという伝説があり、長い間、神様の鹿として大切にされてきました。
 しかし、鹿は本来茶色で白い鹿というものはいませんでした。
 それがこの10年ほどで白い鹿が4頭産まれ、その珍しさから白鹿を見かけた人は、白鹿の後を追いかけまわしました。そしてどの白鹿も人に対し恐怖心を持つようなりました。
 そして人に追われた白鹿は交通事故に遇い、その結果亡くなったり、一命はとりとめたのですが足を骨折してしまいました。このような惨事を防ぐ為にも愛護会が鹿苑の施設に収容し保護していたのですが、ある時、心無い人が柵の外から毒物を投げ込み、それを食べて死亡した白鹿もいます。
 また、人に追いかけられ、ストレスが原因で死亡した白鹿。さらに、逃げる途中に転んで足を骨折、治療のかいもなく足を切断した白鹿・・・様々な悲劇がありました。
 そして現在では、白鹿はわずか1頭しか生存しておらず、その1頭も鼻は曲がり足は切断され見るも無惨な姿で生きています。昔の神々しい面影は全くありません。


   

 

 

「美しい自然とシカが生きるまち・なら」を未来につなぐ      


 「人と鹿の共生」という永い歴史を振り返ると、鹿は人々に翻弄されてきました。過去には、鹿を殺すと死刑になっていたほど鹿が過剰に保護されていた時期や、逆に、鹿が密猟され激減してしまった時期など、その時代時代によって様々な問題がありました。

 そして今までのパネルを見ていただいたとおり、現在では鹿は人間の犠牲になっています。白ちゃんや白鹿の話は、ほんの一例にしかすぎないのです。

 

  元々鹿が住んでいた山を人間が切り開き都合のいいように環境や地形を変え、お互いの生息地 の境界線が無くなりその結果、人と鹿との問題が発生するようになりました。

    

★毎日のように鹿たちは犠牲になっています・・・

  

 ★人が捨てたゴミの摂取による病気や死亡

 
鹿の生息地に人が踏み込むことによる人身事故

 ★
鹿の生活圏に家や道路ができたことによる農地被害交通事故

 

 はたしてこの現状は本当に「人と鹿」が共生しているといえるでしょうか?

 人間側の一方的な共生ではないでしょうか?

 動物が本来の生息地で繁栄し、人間に脅かされることなく自由に暮らしていけるためにも、生息地の環境の回復と維持、みなさんひとりひとりが環境を守ることを常に意識し、資源の無駄使いや環境に有害な物質を作らず、出さない努力をしていかなければいけないのではないでしょうか。

 「人と鹿」が共生をするためには、地域の方々や行政や企業、各種団体等の協力が必要不可欠であり、奈良市民が一丸となって考えていかなくてはいけないのです。

 未来を良くするのも悪くするのも私たちの責任です。今が未来につながっていくのです。

 奈良公園には現在約1200頭の鹿が生息しています。奈良の鹿は市街地にいながら気軽にふれあうことが出来る野生動物という、世界的に見てもとても貴重な存在です。

 しかし現状では人間の便利さを追求するために多大なる鹿の犠牲があります。

 そのことをみなさんが理解し、人と鹿が今以上によりよい関係をつくり「人と鹿」の共生の方法を考え、素敵な奈良を次の世代に伝えていけるようスタッフ一同、心から願って活動しています。      

 

 

       

 

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Copyright (C) 2002 財団法人 奈良の鹿愛護会
最終更新日 : 2008/05/09